今月のひとこと１１月

晩秋になって寒くなって来ると、お茶がとても美味しく感じます。

鉄瓶で湯を沸かし、湯冷ましにうつして少し湯温を下げます。茶葉が入った急須へ湯をそそぎ、少しおいて湯吞へそそぐ。最後の一滴までも。一滴の美味しさ。湯呑は、内側が真っ白な方がお茶の色がはえて、さらにさらに美味しく感じます。そんな時間はとても幸せです。香りで気持ち穏やかに、色でこころ和らぐ、爽やかな甘みの味で幸せを感じます。有難く感謝です。この目の前にあるお茶ですが、こうして楽しめることは、私の手元にお茶が届けられるまでの過程があるからと気づきます。その道のりがあるからこそと想っています。道のり、茶葉を育てる方々、お茶として加工する方々、運搬する方々、たくさんの方々の手を経てお店にならびます。私は、お茶と一緒に道のりも頂きます。不思議とありがたいなぁという想いにかわります。私の暮らしの中にとけこんでいるお茶ですが、当たり前になっていますが、道のりを辿った時、当たり前があたりまえでなく感じられ、お礼をお伝えしたくなります。だれにお伝えしましょう？　そう思える自分自身へ。目の前のお茶へ。ありがとうございます。

「頂きます。」　

　ちょっと話が変わりますが、目の前でお話しされる方がいらっしゃいます。今、目の前の方は今日までの、その方の歴史を積み重ね重ね、私の目の前にいらっしゃいます。その歴史はその方の中で、通奏低音（表面に現れない根底で動いているもの）のように流れているのではないかと思っています。私には、その方の歴史はわかりません。わからない。わからないからお話しなさる方に耳を傾けているんだなぁと気づきます。そして、私は、心静かに、心平らにその方の目の前に在りたいと思っています。でも、それがとっても難しくって。

　だから学びたいと思っています。その方をわかりたくて。

　お湯吞をみながらそんなことを思います。

（ひびきカウンセリング　小泉啓子）